[東大式]データに基づく米国株研究所

東大卒のダメリーマンが2億円でFIREを目指して米国株を研究します。ファクトに基づくデータ分析は得意です。相場の過去データや経済指標のマクロ分析、myPFの公開、個別銘柄のデータ紹介などやっていきます!!

【検証4回目】ElonMuskによるTwitter買収の全容確認~SEC文書編

みなさんこんにちは、2億FIREマンです。

本日もElonMuskによるTwitter買収について検証したいと思います。

 

連載4回目の今回はSEC(米国証券取引委員会)への提出文書の確認を行います。

本記事では

  • SEC(米国証券取引委員会)への提出文書にはなんとなくどんなものがあるか
  • SEC提出文書上のイーロンマスクによるTwitter買収に関する情報

 を知ることができます。

 

 

本記事は続編になります。未読の方は過去記事をまずはご覧いただく方法もあります。

目次の関連記事の前記事から是非ご覧ください。

 

 

何が気になるのか

ElonMuskによるTwitterの買収がアメリカ時間4/25に公表されました。

ElonMuskは1株54.2ドルでTwitterを買収し、非公開化するという噂があります。

つまり株主は1株54.2ドルで買い取ってもらえる。というがあるのです。

4/25以降のTwitterの株価から受け取れるプレミアムを計算すると

4/29の終値なら10.5%のプレミアムがもらえるということなのか。

今年の相場はSP500ですら10%勝てるかわからないのにむちゃくちゃいい話ではないか。ということでこの噂が本当なのか検証してみたいと思います。

 

何を調べるか

 連載1回目ではElonMuskのこの1ヶ月のツイートを振り返りました。

 連載2回目ではTesla社の公式情報を探しました。

 連載3回目の今回はTwitter社の公式の情報を追ってみました。

連載3回目のおさらい

Twitter社の公式情報から以下の情報を入手できました。

  • Twitterとイーロンマスクは、全株式の54.2ドルでの買取と株式の非公開化(全株買い取り)による買収に合意した。
  • Twitterの株主による承認、規制当局の承認などは未実施である。
  • 実際のイーロンによる資金調達も完全に済んではいないように見える。

今回

    連載4回目の今回はSEC(米国証券取引委員会)への提出文書を確認したいと思います。本記事では

  • SEC(米国証券取引委員会)への提出文書にはどんなものがあるか。
  • SEC提出文書上のイーロンマスクによるTwitter買収に関する情報

 を知ることができます。

SEC文書の確認

では早速確認していきます。文書量が膨大なのでうまく纏めながら行きたいと思います。

どこで確認可能なのか

SECのWebサイト、TwitterのIRサイトともにSECへの提出文書一式が掲載されていました。(先日はTwitterの公式では見つけられなかったと誤情報を出してしまい申し訳ありません。

 

◆SEC公式EDGAR Search Results

◆Twitter公式Twitter, Inc. - Financial information - SEC filings

 

さっそく見ていきます。

4/14分ぐらいから見ていきます。

4/14 SC 13D/A

schedule13D/Aという書式との事です。これは公開買付を行う際にSECへの提出が求められる文書との事です。

schedule13D/Aとは

登録会社の株式を5%超実質的に保有することになった者は,10日以内に,開示項目を記載したスケジュール13D(①取得者の情報,②買付の資金源と金額,③既に所有している株式数,④当該株式についての取決め,⑤保有目的と対象会社に対する意図を記載)を SEC に提出する義務がある。

また,登録会社の株式を5%超取得するため公開買付をする者は,買付開始日に,スケジュール13D の開示内容に加えて公開買付の条件等を記載したスケジュール TO を SEC に提出する(14条⒟)。

さらに対象会社の経営者は,公開買付の申込みから10営業日以内に,公開買付に対する自らの立場を明確にしたスケジュール14D-9を SEC に届け出る必要がある。これらは,投資家にとっては,公開買付に応じるか否かを判断するための情報と熟慮期間の提供という意義がある。

引用 https://www.jsri.or.jp/publish/market/pdf/market_30/30_17.pdf

 

へぇーへぇーへぇー。原文抜粋は以下。

 

Item 4.     Purpose of Transaction.

Item 4 of the Schedule 13D is amended and restated in its entirety to read as follows:

 

On April 13, 2022, the Reporting Person delivered a letter to the Issuer (the “Letter”) which contained a non-binding proposal (the “Proposal”) to acquire all of the outstanding Common Stock of the Issuer not owned by the Reporting Person for all cash consideration valuing the Common Stock at $54.20 per share (the “Proposed Transaction”). This represents a 54% premium over the closing price of the Common Stock on January 28, 2022, the trading day before the Reporting Person began investing in the Issuer, and a 38% premium over the closing price of the Common Stock on April 1, 2022, the trading day before the Reporting Person’s investment in the Issuer was publicly announced.

 

The Proposal is non-binding and, once structured and agreed upon, would be conditioned upon, among other things, the (i) receipt of any required governmental approvals; (ii) confirmatory legal, business, regulatory, accounting and tax due diligence; (iii) the negotiation and execution of definitive agreements providing for the Proposed Transaction; and (iv) completion of anticipated financing.

 

There can be no assurance that a definitive agreement with respect to the Proposal will be executed or, if executed, whether the transaction will be consummated. There is also no certainty as to whether, or when, the Issuer may respond to the Letter, or as to the time table for execution of any definitive agreement. The Reporting Person reserves the right to withdraw the Proposal or modify the terms at any time including with respect to the amount or form of consideration. The Reporting Person may, directly or indirectly, take such additional steps as he may deem appropriate to further the Proposal.

骨子は以下の形。

  • 全ての株式を現金で1株54.2ドルで買い取ることを提案すること。提案ということがミソですね。
  • 以下が買収の条件となっています。
    • 政府機関の承認
    • 法律・ビジネス・規制・会計・税のデゥーデリジェンスの成立
    • 買収提案の交渉、合意が成立
    • イーロンによる資金調達の完了
  • 買収成立の保証はないと但し書きがあります。

4/15 Form 8-K、8-A12B

8-K書式とは

米国における株式公開企業が米国証券取引委員会(SEC)への提出が義務付けられている財務状況や株価に影響を与える可能性のある重要事項に関する報告書式のことで、会社支配権の変更、買収、処分、監査人の変更、取締役の退任、破産などの特別な事象について、発生から1か月以内の提出と、報告内容の迅速な対外発表が求められている。

引用Form 8-Kとは? | 証券取引用語集
  • 本文書では1株あたり0.000005ドルの配当付与が公表されています。さっと読んでみたのですが目的は分かりませんでした。何かの補正??
    現時点では今後の買収に直接関係なさそうなので飛ばします。

4/25 DEFA14A

DEFA14Aってのは「今後開催される必要株主投票に関連する追加資料を提供したい場合に、証券取引委員会(SEC)に提出する必要がある書式」だそうです。これおそらく買収提案に賛成票を投じてもらうための資料なんですね。

Twitterの取締役会が買収に合意したことを発表しています。

 

4/26 DEFA14A

さきほどと同じく買収提案を後押しする参考資料としてJack Dorseyのツイートを紹介していますね。

私はTwitterを愛しているし、Twitterは公共のみんなのものだ。Elonの主張には賛成する一方、ElonはTwitterの一人の人間だし、他の人の意見も尊重される必要がある。CEOのParagの意見も同じように尊重される必要がある。という趣旨のコメントです。

 

4/27 SC13D/A

これが買収にあたる公開買い付けの最終更新版の文書のようです。(一番重要)

原文や内容が気になる人はこれを読みましょう!!

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1418091/000110465922050686/tm2213741d1_sc13da.htm

私が読み取った骨子は以下です。間違いもあるかもしれません。

  • X Holdings I, Inc. (“Parent”), X Holdings II, Incが買収することで基本合意した。
  • 公開株は1株あたり現金54.20ドルですべて買い取られる。利息は付かない。
  • 買収成立までの条件
    • (1) 発行者の株主による合併契約の承認

    • (2) 1976年の米国Hart-Scott-Rodino反トラスト改善法 (その後の改正を含む) に基づく待機期間の満了又は終了、並びに米国の反トラスト法及び外国投資法並びに米国外の一定の法域におけるクリアランス

    • (3) 米国の政府当局又は米国以外の一定の国・地域において、本合併を違法とし、若しくは違法とし、若しくは本合併の完了を禁止し、又は本合併の完了後に本合併を撤回させる効力を有する法令又は命令が存在しないこと。

  • 別のものによる新たな買収提案について協議したり、取締役会メンバーが買収とりやめに賛成票を投じないことに同意している。
  • 2022年10月24日までに上記の条件などが成立しない場合は、本合併契約は破棄することができる。
  • 本契約を10億ドルで破棄することができる。また、買収後、転売した場合も10億ドルの違約金が必要となる。
  • 報告者は、2022年4月25日に締結された修正株式コミットメントレターに基づき、その条件に従い、本合併の効力発生時に約210億ドルを上限として親会社に出資することを約束しました。4月25日付の債務確約書に従い、同書簡に記載されている条件に従い、コミットメントの当事者は、合併の発効時に、約130億ドルの債務融資を合併相手に提供することを約束します。4月25日付の信用供与確約書に従い、同書簡に記載されている条件に従い、コミットメントの当事者は、本合併の発効時に、報告者が完全所有するデラウェア州の合同会社であるX Holdings III, LLCに対し、約125億ドルの信用供与を行うことを約束し、その手取金は、本合併の相手方に分配されるか、その他の方法で利用可能となる。

なんか難しいんですが、この辺も結局、イーロンの資金提供スキームがちゃんと全額満たされる方法を表しているんでしょうね。

その他

各種ニュースリリース、株主総会での株主提案に関すること、決算情報などに関する文書がありました。イーロンによるTwitter買収には直接関係なさそうなので割愛しました。

 

終わりに・まとめ

以上でした。今回得られた追加情報を纏めると

  • X Holdings I, Inc. (“Parent”), X Holdings II, Incが買収する。

  • この合併(買収)合意の失効期限は2022年10 月24日。

  • 合併取りやめの違約金は10億ドル。(ただし、無条件に取りやめられるわけではなさそう。

  • イーロン及びTwitter取締役会の両社は、今後別の合併相手と協議したり、合併提案に反対票を投じることはしない。

  • Twitterの株主による承認、規制当局/法律的な承認、資金調達の満了などが条件。

  • 現時点の買収条件の正しいものは以下の原文を読みましょう。https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1418091/000110465922050686/tm2213741d1_sc13da.htm

 

結局54.20ドルで買い取ってくれる買収が成立する確率は?

うーん。私今のところ正直分かりません。

例えば

この後TESLAの株価があと30%下がった時資金調達がうまくいくのか。とか

EUとか、人権団体、反トラスト法あたりにケチをつけられないか。とか

これはカンですが、買収成立確率75%程度と予想します。

一方で新たなホワイトナイトが出てきたりすることはないっていうのは本日の好材料でしたね。

 

なので、絶対54.20ドルで買ってもらえるんだわーい!という考え方は危険というのが私の意見です。ただし、これもあくまで私の考えですので投資は自己責任で。

 

もし気が向いたら、買収不成立のリスクとかも色々検索して調べてみたいと思います。

 

本日は以上です。

ありがとうございました。

 

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関連記事

前記事です。Elon Muskのこの1ヶ月のツイートを振り返りました。

millionare-fire.hatenablog.com

 

検証2回目ではTESLAによる公式声明がないか調べました。

millionare-fire.hatenablog.com

 

検証3回目ではTwitte社のNewsReleaseの内容を翻訳・紹介・解釈しました。

millionare-fire.hatenablog.com