[東大式]データに基づく米国株研究所

東大卒のダメリーマンが2億円でFIREを目指して米国株を研究します。ファクトに基づくデータ分析は得意です。相場の過去データや経済指標のマクロ分析、myPFの公開、個別銘柄のデータ紹介などやっていきます!!

アメリカのリセッションの定義とデータを正しく理解する!!

youtubeやtwitterや経済ニュースで最近よくアメリカの過去のリセッションはこうだったーとか色々出ています。

でもではリセッションの定義が示されていなかったり、データの出典が示されていなかったりがほとんど。

うーん本当に正しいデータなの?信用できるデータなの?と思ってしまうオイラです。

ということで本日はアメリカの過去のリセッションについてしっかりと元理系研究者らしく調べてみたいと思います。(おめー、図表名入れなかったり、グラフに単位入れてなかったりしてんじゃん!とかツッコミはあるかもしれませんw)

 

この記事で分かる事 ⇒ リセッションの定義、リセッションの生データ

 

 

 

参考にした情報2022/04/10/141915

FED関連のサイト(FRED)とか色々探すと、よく投資系インフルエンサーが引用するいつもの長期金利とリセッション(灰色)のグラフは見つかるのですが、生データも定義も見つからず。

FEDとは 日本語では連邦準備制度。Federal Reserve SystemのFederalを略してFed(フェッド)と呼ばれ、FRSともいう。米国の中央銀行制度のこと。連邦準備理事会(FRB:Federal Reserve Board)、連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)、全米12地区の連邦準備銀行(FRB:Federal Reserve Banks)から構成される。

FREDとは FRB(アメリカの中央銀行)が公開している経済指標のデータで、消費者物価指数(CPI)や失業率などのデータを取得することができます。

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FRED FFレート

結局 wikipediaをとりあえず読みました。うーん素晴らしく良くまとまっている。ただ情報に騙されないために注意したいのは、wikipediaを鵜呑みにすることなくwikipediaの引用元も参照するようにすることです。

 

en.wikipedia.org

 

wikipediaの中にあったあった。

なるほどNBER 全米経済研究所がリセッションデータを公表しているのだな。

全米経済研究所(ぜんべいけいざいけんきゅうしょ、National Bureau of Economic Research, 略称:NBER)は、1920年創立の非営利的な無党派の民間研究組織である。経済学における実証分析の研究に特化した組織で、 特にアメリカ経済の研究を専門としている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/全米経済研究所

 

The unofficial beginning and ending dates of recessions in the United States have been defined by the National Bureau of Economic Research (NBER), an American private nonprofit research organization. The NBER defines a recession as "a significant decline in economic activity spread across the economy, lasting more than two quarters which is 6 months, normally visible in real gross domestic product (GDP), real income, employment, industrial production, and wholesale-retail sales".

引用元: https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_recessions_in_the_United_States

 

The National Bureau of Economic Research dates recessions on a monthly basis back to 1854; according to their chronology, from 1854 to 1919, there were 16 cycles. The average recession lasted 22 months, and the average expansion 27. From 1919 to 1945, there were six cycles; recessions lasted an average 18 months and expansions for 35. From 1945 to 2001, and 10 cycles, recessions lasted an average 10 months and expansions an average of 57 months.[6] This has prompted some economists to declare that the business cycle has become less severe.

引用元: https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_recessions_in_the_United_States

 

 

全米経済研究所(NBER)によるリセッションに関する説明を翻訳します。

NBERの景気サイクル検証委員会は、米国の景気サイクルのデータを定期的に更新している。このデータは、景気後退と景気拡大のピーク(山)と底(谷)の月を示している。景気後退は、経済活動のピークから底の間の期間である。底からピークまでの期間では、経済は拡大している。景気拡大が経済の正常な状態である。ほとんどの不況は短期間である。しかし、経済活動が以前のピーク水準に戻るまでの時間はかなり長くなる場合がある。直近の景気のピークは2020年2月であり、最近の景気の底は2020年4月にである。

NBERの定義では、景気後退局面と認定するには、経済全体に波及して数カ月以上続く経済活動の著しい減退が含まれることが重視されている。一方で、景気後退の深さ、拡散、持続時間という3つの基準も個別に重視されている。3つの基準のうち、極端に大きいものがあれば他の基準が小さくても景気後退と認定することがある。

例えば、2020年2月(コロナショック)の経済活動のピークの場合、委員会は、その後の活動の低下は非常に大きく、経済全体に広く拡散したので、たとえそれが非常に短期間であっても、その下降は景気後退として分類されるべきであると結論づけた。

不況と認定するには一つのセクターに限定されず、広く経済活動が低下している必要があるため、委員会は経済活動の経済全体の指標を重要視している。景気のピークと底の月の決定は、連邦統計局(federal statistical agencies)によって公表される実質経済活動(aggregate real economic activity)の月次統計に基づいている。具体的には、実質個人所得、非農業部門の給与、家計調査で測定された雇用、実質個人消費支出、価格変動を調整した卸売小売売上高、工業生産等の統計値を参考にしている。これらの統計値による判定プロセスや重みづけのルールはない。この数十年間では、実質個人所得、非農業部門の雇用を景気判定において重視している。

委員会は、四半期の総経済活動の統計データに基づいて、景気のピークと底の期間を認定する。GDP(国内総生産)とGDI(国内総所得)には四半期データしかなく、月次では利用できない。そのため、雇用統計(payroll employment)も確認している。

四半期の山と谷の決定には重要であるが、月次では利用できない2つの指標は、実質国内総生産 (GDPとGDI) の支出側と所得側の推計である。委員会は、上記の月次指標、特に給与雇用の四半期平均も検討する。

景気後退、景気拡大の変遷の決定は後付けで行われる。後から二転三転しないように、十分なデータが取得できるには時間を要するためである。景気後退の発生が確信できるまで十分に検証を重ねる。

               引用元:https://www.nber.org/research/business-cycle-dating

はい。読む気なくしたでしょうね。

 

全米経済研究所(NBER)によるリセッション定義(まとめ)

仕方ないのでばくっとまとめます。

  1. リセッションの明確な定義はなく、GDP、GDI、雇用統計、実質個人所得、非農業部門給与、実質個人消費支出、卸売小売売上高等を活用して、有識者が判定する。
  2. 判定は後付けで行われる。例えば半年後とか1年後とか。
  3. wikipediaや他の情報でも、GDPが2四半期連続マイナスっていう定義を見たことがあるけど、NBERは公式には認めていなそうな書きっぷりです。
  4. 景気のピークから底までがリセッション期間である。

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リセッション期間ポンチ絵

ってことですね。

 

アメリカの過去のリセッションの生データ

はい。そしてNBERのサイトで欲しかったリセッションの生データを取得できました。

パチパチパチパチ。

生データはこれだっ!!表の説明は表の下に記載しています。戦後だと(1945年も含めると)13回のリセッションがあるんですね。

 

Business Cycle Reference Dates Contraction Expansion
Peak Month Peak Year Peak Quarter Trough Month Trough Year Trough Quarter Peak to Trough (Months) Previous Trough to this Peak (Months)
- - - December 1854 4 - -
June 1857 2 December 1858 4 18 30
*October 1860 3 *June 1861 3 8 22
*April 1865 1 *December 1867 Trough occurred 1868Q1 32 46
June 1869 2 December 1870 4 18 18
*October 1873 3 March 1879 1 65 34
March 1882 1 May 1885 2 38 36
*March 1887 2 *April 1888 1 13 22
July 1890 3 May 1891 2 10 27
January 1893 1 June 1894 2 17 20
December 1895 4 June 1897 2 18 18
*June 1899 3 December 1900 4 18 24
*September 1902 4 August 1904 3 23 21
May 1907 2 June 1908 2 13 33
January 1910 1 *January 1912 Trough occurred 1911Q4 24 19
January 1913 1 December 1914 4 23 12
August 1918 3 March 1919 1 7 44
January 1920 1 July 1921 3 18 10
May 1923 2 July 1924 3 14 22
*October 1926 3 November 1927 4 13 27
August 1929 3 March 1933 1 43 21
May 1937 2 June 1938 2 13 50
February 1945 1 October 1945 4 8 80
November 1948 4 October 1949 4 11 37
*July 1953 2 May 1954 2 10 45
August 1957 3 April 1958 2 8 39
April 1960 2 February 1961 1 10 24
December 1969 4 November 1970 4 11 106
November 1973 4 March 1975 1 16 36
January 1980 1 July 1980 3 6 58
July 1981 3 November 1982 4 16 12
July 1990 3 March 1991 1 8 92
March 2001 1 November 2001 4 8 120
December 2007 4 June 2009 2 18 73
*February 2020 Peak
occurred
2019Q4
April 2020 2 2 128
The *red highlights indicate when the peak or trough month has been outside the peak or trough quarter.

 

表の説明

FREDでGDPとリセッション期間の図を借用してきました。

このグラフと上記のリセッション期間の関係を図示し、下表で解説します。

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GDPとリセッション期間
列名 説明 図で言うと
PeakMonth Year Quarter ピークの年月、四半期 赤丸
Trough Month Year Quater 底(トラフ)の年月、四半期 青丸
Peak to Trough ピークから底の期間 つまりリセッション期間 赤丸から青丸
Previous Trough to this Peak 前回のそこから今回のピークの期間。つまり景気拡大していた期間 前回の青丸から今回の赤丸

 

今回のデータ引用元サイトは全米経済研究所のこのページです。

www.nber.org

 

 

ということでリセッションとは何たるか定義と過去データを理解することが私はできました。皆様も理解を深められていたら幸いです。

結局wikipedia読んだら事足りてるんですけどね。。

さてデータは取得することが目的ではなく、活用して考察してこそ意味があります!!

 

今後、リセッションデータと株価、原油価格などを検証してみたいと思います。急がないと大暴落が先にやってきてしまう!大暴落の前に研究と考察をしなければなりません。急げ!!!

 

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引用の基本とか英語とか。